クリスタルボウルの演奏に興味を持たれる方が少しずつ増えています。私も同じクリスタルボウル好きとして嬉しい限りですが・・・まだまだ分かりにくい世界であるのは事実です。
クリスタルボウルは「どういう音階のボウルで演奏を行うか?」によって、体験が大きく変わります。簡単に言えば、キレイなハーモニーが作れるボウルのセットならシンプルな演奏でも心地よいけど、不協和音しか鳴らせないボウルのセットだと、どれだけ技術がある奏者が演奏しても心地よい世界を作るのは困難になります。
さらに、クリスタルボウルには「ピッチのズレ」という面倒くさい要素があるために、音階だけで組み合わせを作るのではなく、ピッチのズレまで考慮しないとなりません。
クリスタルボウル奏者になりたい!と思ったときは、最初のクリスタルボウル選びがとても重要で、とても難しいんですよね。
ではここで問題です。
いま「D +45」というボウルをひとつ持っているとします。このボウルと組み合わせて、もっともキレイなハーモニーが作れる可能性があるのは、以下のどれでしょう? スマホのピアノアプリを使ったり、インターネットの「バーチャルピアノ」を使って確認していただいても構いません。
- F# -10・A -5
- D# +40・E +35
- G -45・A# -45
・・・答えは 3の「G -45・A# -45」です。
解説していきますね。
1の「F# -10・A -5」と組み合わせれば、「レ・ファ#・ラ」の和音になります。ピッチのズレが小さな絶対音だし、一番よさそうに見えますが・・・「D +45」と「F# -10」だと、相対的なピッチのズレは55もありますよね。これだと、キレイなハーモニーになるかは不安です。
2の「D# +40・E +35」は「D +45」とピッチのズレは似ていますが、ハーモニーが作れる音階ではありません。
3の「G -45・A# -45」はピッチが大きくマイナスに寄っています。「D +45」はプラス寄りなので、まったくダメなように見えますが・・・これ、下の音階から考えたら「F# +55・A +55」ですよね。「D +45」との相対的なピッチのズレはわずか10だし、「レ・ファ#・ラ」の和音になるので、もっともよさそうです!
いかがでしたでしょうか。さっぱり分からない!という方もおられると思います。
というわけで・・・こういった「クリスタルボウル選びのアドバイス」や「クリスタルボウルを聴く際のアドバイス」に役立つ知識をまとめて、認定テストみたいなのを作って、合格された方には「クリスタルボウル・プロフェッショナル・アドバイザー(Crystal singing bowl Professional Adviser)」という肩書きでも・・・と考えています。
私はこれまで「クリスタルボウル奏者」の認定(公認奏者)みたいなのは完全に否定してきました。自由な音の世界において、誰かが認める・認めないなんてナンセンスだからです。もし、認めるとすればそれは演奏を聴いてくれるお客さまであり、先輩奏者ではありません。
だけど、知識って絶対的な存在ですよね。一度がんばって身に付ければ、変わることのない世界です。
もっともっと音の世界を拡げるために、2022年はそんなことも考えています。