「奏者の活動だけで生活していくためにはどうすればよいですか?」
そんな質問をいただくことがあります。もっと直接的に「クリスタルボウルって稼げますか?」というニュアンスで聞かれることも。
現在の私は、収入のほぼすべてがクリスタルボウル活動のものとなっています。2014年に「合同会社マガリ企画」を創業した当初は何ひとつ仕事がなく(目的なく起業したから当然なんですが・・・)、老人ホームのレビューから美容系サイトの体験モデルまで、とにかくお金がいただけるものは何でもやってきた事を思えば、「好きなことだけでご飯を食べている」というのは夢のような話です。
ただ・・・お金をいただく=いろいろ面倒なこともやらなくちゃならない、です。今日はそんなお話を。
私の場合は会社員を辞めた後に→そのまま起業でしたが、奏者さんの多くは起業を伴わず、会社員や主婦業の「副業」として奏者活動をしていると思います。
副業による所得は「年間20万円」を超えると確定申告をして、納税を行う必要があります。でも、「長年活動しているけど、確定申告なんてしたことない」という奏者さんもいるかもしれません。いわゆる「無申告」の状態ですね。
当然ながら、私は「申告なんてしなくていいですよ!税金なんて無視しましょ!」なんて言えません。ある日いきなり税務署の人がやってきて、何年分も「追徴課税」されるかもです。税金に「時効」は存在しないため、無申告(未払い)のカルマは一生ついてまわります。税務署は銀行口座の残高も勝手に調べるので、オンラインレッスンとかの振り込み入金がたくさんあったら・・・まぁ簡単にバレますよね。
税金や社会保険料ってすっごい高いです。そして、稼げば稼ぐほど高くなっていきます(累進課税)。
もし、あなたが家族の「扶養」に入っていて→所得金額によって扶養を外れることになったら、その家族の税金も上がります。さまざまな「手当」もなくなります。確定申告や納税の手続きも決して簡単とは言えないし、規模によっては税理さんに手続きをお願いして、謝礼(税理士報酬)を支払うことになるかもしれません。
「ゆったりとした日々を目指して活動を頑張ったのに、税金ばかり取られるし、手続きもストレスでしかない!」ということになる恐れがあるわけです・・・。年収1000万くらいが一番損みたいな話もありますよね。
【外部サイト】年収1000万は逆に家計が苦しくなる…?もらえなくなる手当や控除とは | ファイナンシャルフィールド
「稼ぎたい!」というのは、さまざまな理由があってのことだと思います。でも、「自分はどんな状態が心地よいのか? 幸せを感じるのか?」というのを考えてみるのも大切だと思います。
私がクリスタルボウルの活動を始めたころ、とある人に誘われて毎月演奏をする機会をいただきました。でも、その当時はそんなにお客さんも集まらないし、売上もありません。かといって無償で演奏してもらうのは申し訳ない・・・ということから、ギャラ(現金)の代わりに「実家で採れた野菜」をもらっていたことがあります(「いつも娘がお世話になっております」という父上の筆書きの手紙入りで)。スーパーでは絶対に買わないような野菜があったり、すごくよい勉強になりました。
ほかにも、友人のホームパーティーで演奏してお鍋をご馳走になったり、「ヒーリングエクスチェンジ」という名前で「私は60分演奏するから、かわりに60分マッサージして」みたいなこともやってました(これはいまもやりたい)。
いま振り返ると、そういった日々を通じてたくさんの体験やたくさんの人と出会えたことは、その後の活動の「糧」になっています。もし最初から「お金をくれないと演奏しません!」だったら、いまの私はなかったはずです。
もちろん、ガンガン働いて→ガンガン納税するというのも正しいオトナの姿のひとつとは思います。でも、そのために心身を壊してしまっては元も子もありません。
クリスタルボウルの音など聴きながら、「私はどういう時間が好きなんだっけ?」「何をしているときが心地よかったっけ?」と想像し、そのために「現金」は本当に必要なのか、どのくらい稼いだら、どのくらい面倒くさいことが増えるのかを想像してみましょう。
私は夕日が沈んだり朝日が昇ったりするのを見ることでこの上なく幸せを感じられる安い性格なので、あんまり「稼ぐ」ことには重きを置いていません。味玉付けられるくらいの余裕があれば十分です。
話をまとめると・・・
- お金をもらう=納税をする、です。税金から逃れることはできません
- 日本は「稼げば稼ぐほど税金が高くなる」という仕組みになっています
- 自分を疲弊させてまで稼ぐのは、本末転倒になる恐れがあります
- ほどほどに、幸せのかたちを考えてみるのもよいと思います
お金がないと老後が心配? 心身を壊し、友人も趣味もない老後の方がよっぽど怖くないですかね・・・。
「奏者の活動だけで生活していくためにはどうすればよいですか?」「クリスタルボウルって稼げますか?」
そういった質問について、もちろん答えはあります。でも、それがすべての人の人生において正解であるとは言えません。あえて「稼がない」という選択肢も正解のひとつだと思います。