「サウンド・バス(SOUND BATH)」とは、心身を穏やかに整えて心地よい状態に導くために行われる、クリスタルボウルなどの楽器を使った音楽の演奏です。
このページではサウンド・バスについて紹介をしています。
目次
サウンド・バスとは
「サウンド・バス(SOUND BATH)」とは、心身を穏やかに整えて心地よい状態に導くために行われる、クリスタルボウルなどの楽器を使った音楽の演奏です。
音による癒やし「サウンドヒーリング」として、ヨガや瞑想を補助するツールとして世界中でサウンド・バスの演奏が行われています。
サウンド・バスの特徴
サウンド・バスは「音楽を聴く」という体験ですが、「コンサート」よりも「ヨガレッスン」のような雰囲気の中で行われています。
メロディではなく響きに包まれます
サウンド・バスの演奏にはクリスタルボウルやシンギングボウル、ゴング(銅鑼)やドラム、各種のチャイム、チャント(声)などが用いられます。
ピアノやギターのように「メロディの移り変わり」を楽しむのではなく、これらの楽器が作り出す独特な「音の響き」を全身で浴びるように聴きながら過ごします。
生演奏・生音が基本です
サウンド・バスの演奏ではマイクやスピーカー、コンピュータで自動演奏される電子楽器のようなものは基本的に使いません。奏者の手による「生演奏・生音」によるオーガニックな体験、一期一会の体験を大切にしています。
そのため、何百人、何千人という大規模なコンサートスタイルではなく、多くの場合は10人以下の少人数でヨガレッスンのような雰囲気の中で行われています。
15分から60分程度の演奏です
サウンド・バスの演奏はじっくりゆっくり行われます。
ピアノの発表会やカラオケのように「それでは次の曲は…」と展開が変わるのではなく、ひとりの奏者のじっくりとした演奏を体験することを大切にしています。
ラクに座ったり、寝転がって聴きます
サウンド・バスではラクな姿勢で座ったり、寝転がって過ごします。
大声でお喋りをしたり、ダンスを踊ったり、お酒を飲んだり、タバコを吸ったりすることはありません。
心地よい音色の演奏です
サウンド・バスの演奏は「普通に聴いても心地よくキレイな音の響き」です。強い音、怖い音、不快な音ではありません。
サウンド・バスの奏者は心地よくキレイな音の響きを作り出せるようにトレーニングを行っています。
スピリチュアルな主張はありません
サウンド・バスではスピリチュアルな体験をすることもありますが、奏者や楽器のスピリチュアルなパワーを秘技伝授している…というような考え方はしていません。
すべての体験はリラックスの結果、純粋な状態に戻った自分から出てきたものです。
サウンド・バスの効果
サウンド・バスの演奏では、次のような感想をいただくことが多いです。
- 緊張がほぐれて癒やされた
- 意識が深まってふだん以上に瞑想ができた
- 新しい「気づき」が得られた
- 夜にYouTubeで音を聴きながら寝るとよく眠れた
- スピリチュアルな体験ができた
私が開催したクリスタルボウル サウンド・バスイベントに参加いただいた方からの感想・クチコミは予約サイト側に自由に投稿してもらっていますので、「どんな感じなのだろう?」と気になるときは感想・クチコミも参考にしてみてください。
※クリスタルボウル、サウンド・バスは医学的・科学的に治癒・治療の効果が認められたものではありません。精神疾患を治療中の方は主治医さんと相談の上、慎重に参加を検討ください
※クリスタルボウル、サウンド・バスは演奏する奏者によって体験が大きく変わります。上記は私(Magali Luhan)の演奏への感想ですので、ほかの奏者さんの場合はまた違うものになるかもしれません
サウンド・バスの体験の理由
では、なぜサウンド・バスは特別な体験ができるのでしょうか?
その理由はすごくシンプルで「深くリラックスできるから」です。
現代の私たちの意識は、常に「思考」の状態にあります。以前であればボケーっと過ごしていたような時間でも、何かモッタイナイない感じがしてSNSを見たり、動画を見たりしてしまう人も多いですよね。
ゴロリと寝転がって心地よい音の響きに包まれていると、アタマの中から余計な思考が消えて、ただただ「心地よい」という「感覚優位」の状態に意識が変化していきます。
そして、思考から離れて感覚優位になることで、
無意識の緊張がほぐれて身体がすっと楽になったり…
ふだんとは違う「気づき」に出会えたり…
マインドフルな瞑想や癒しを体験したり…
ときにはスピリチュアルな感覚になることもあります。
何かを与えるのではなく、深いリラックスの中で積極的に「減らす」ことにより、その人が本来持っている姿へ近づけていくのがサウンド・バスと言えるかもしれません。
リラックスがすべてのカギ
「え?リラックスするからなの?もっとすごい秘密があるんじゃないの?」「リラックスならふだんからしてるけど?」と思われるかもしれません。
でも、本当にリラックスがすべてのカギなのです。奏者や楽器が特別なパワーを出しているわけではありません。ただ、そのリラックスの度合いがふだんよりも大きい(ディープ・リラクゼーション)からこそ、特別な体験となります。
たとえば、お釈迦さまは菩提樹の木の下で瞑想をして悟りを開いたと言われています。失礼を承知で乱暴に言えば「静かに座っていただけ」です。でも、その「静けさ」がふだん以上・ふつうの人以上だったからこそ、悟りという境地になったのだと思います。
私たちの意識の中には無限の可能性があります。サウンド・バスは音の響きによって、その扉をやさしく開いています。
なぜサウンド・バスはリラックスできるの?
サウンド・バスでは心地よい「音の響き」を作ります。
メロディを主体にした音楽だと、アタマはメロディの移り変わりを追い続けてしまいます。歌詞があったら、その意味を理解しようとするかもしれません(もちろん、それはそれでメリットのある音楽体験です)。
また、四角いスピーカーを並べた演奏だと、アタマは「あそこから音が出てるのね」と理解できますが、サウンド・バスで使われるクリスタルボウルのような丸い形をした楽器は360度すべての方向に音が拡がり、壁に当たって反射してくるため、どこから音が鳴っているのか分からず、全身が包まれるような感覚になります。
無意識のうちにアタマが動いてしまっている部分を、心地よい音の響きで塗りつぶすからこそ、サウンド・バスは深いリラクゼーションに導くことができるのです。
なぜサウンド・バスは深く瞑想できるの?
さまざまな瞑想方法の多くは、既存の意識を変化させるために「何かに集中すること(サマタ瞑想)」からスタートしています。呼吸に集中したり、ロウソクに集中したり、「食べるマインドフルネス瞑想」だと、その食べ物に集中したり。
しかし、集中する瞑想方法は「集中力」を使うために疲れてしまいがち。どうしても慣れが必要です。
また、「ただ何かを感じること(ヴィパッサナー瞑想)」という瞑想方法もありますが、こちらも慣れていないと意識の中にさまざまなノイズが生まれてきて、混乱してしまいます(そのノイズもただ感じ続けることが大切ですが、最初はやはり戸惑います)。
マインドフルネスの本などで瞑想を「トレーニング」と呼ぶことがあるのは、誰でもすぐにできるわけじゃないからですね。
サウンド・バスは「音に心身を委ねる」ことにより、自然と深い瞑想の意識になっていきます。
集中力を使わずに、ただ音を感じ続けられます。心地よい音なので意識の中に悪いノイズ(バッド・トリップをさせる原因)が出てきづらく、仮に出てきても音があるので心強く対応ができます。
アメリカのサウンド・バス アーティスト Sara Austerさんは「伝統的な瞑想方法が階段を自力で登る行為だとすれば、サウンド・バスはエスカレーターである」と表現しています。
心地よさがグッド・トリップへ
サウンド・バスでは「心地よく感じる演奏、心地よく過ごせる環境」をとても大切にしています。
さまざまな楽器で作られる演奏は、ふつうに聴いて「ああ、キレイな音だな」と感じられるものです。会場は清潔なスタジオに寝心地のよいマットを敷いたりして、心おきなくゴロゴロできるように配慮されています。
心地よく過ごせるからこそ、意識を深めたときに心地よい体験「グッド・トリップ」へアプローチができます。もし、怖い音・強い音だったら(心地よい体験ではなく)恐怖や不安を感じる「バッド・トリップ」になるかもしれません。
「ハグをするのは癒やしだから」と言われても、誰とハグをするかで癒やされ度合いは大きく変わるのと同じです。「音が鳴っているから癒やされる」ではなく、「心地よい音が・心地よい環境で鳴っているから癒やされる」というわけですね。そのために奏者は日々修行を続けています。
サウンド・バスで用いられる楽器
サウンド・バスで使用される楽器も、これまでの音楽コンサートやライブとは大きく異なります。よく用いられている楽器をご紹介します。
シンギングボウル類
お椀(ボウル)の形状をしたシンギングボウルはサウンド・バスでもっとも多く使われている楽器です。素材によって、水晶から作られた「クリスタルボウル(クリスタル シンギングボウル)」や、合金製の「チベタンボウル(単にシンギングボウルとも)」など、いくつかの種類があります。
クリスタルボウル
サウンド・バスでもっともよく用いられている楽器が、水晶から作られた「クリスタルボウル」。とても美しく、長い響きを持っており、やさしく繰り返される音の波によって全身を包み込んでいきます。クリスタルボウルには大きく3つの種類(世代)がありますが、サウンド・バスで多く使われているのは「クリアーライトボウル」、「アルケミーボウル」と呼ばれるものです。
チベタンボウル
金属製のチベタンボウルは複雑な倍音を持っており、肌を震わせるような感覚があります。音楽的な響きというより、密教的な響きなので、「美しい音色でとろけるようにヒーリングされたい」という用途にはあまり向いていません(個人の見解です)。身体の上に乗せたり、アタマに被せたりした状態で音を出すこともできます。
チャイム類
金属のバー(棒)を束ねたチャイムが奏でる連続した響きは、意識にふっとしたアクセントをもたらせてくれます。
コシチャイム
竹の合板で作られた筒の中に9本の金属のバーがつけられた風鈴のような楽器。手に持って軽く動かすことにより、「ポロロロロン」というような柔らかな音色を出すことができます。コシチャイムには「Terra(テラ・土)」、「Aqua(アクア・水)」、「Aria(アリア・風)」、「Ignis(イグニス・火)」の4種類があり、それぞれ異なったハーモニーとなっています。
バーチャイム
金属のバーを横一列に並べたバーチャイム。テーブルの上にそのまま置けるサイズのものはテーブルチャイムとも呼ばれています。「シャララララン」という高い響きはクリスタルボウルでは作れない音域なので、演奏のよいアクセントになります。
フォーク類
U字型をしたアルミニウムのバーを叩いて鳴らすチューニングフォーク(音叉)。音に「揺らぎ」がなく、一定の周波数を響かせ続けることができるため、周波数を意識したサウンドヒーリングでも多様されています。
チューニングフォーク
ひとつのチューニングフォークをコキーンとシンプルに鳴らすこともあれば、チューニングフォーク同士をぶつけてゴギャーンという倍音を作り出すこともあります。
手に持ったフォークを動かすことにより、音像も動かせるため、「聴者の身体表面を音で撫でている」ようなアプローチが可能です。
ドラム類
バチで叩くドラムは空気を強烈に揺らし、強い音圧を持っています。
ゴング(銅鑼)
日本だと中華料理屋さんを想像してしまいそうな、平らな鉄の円盤を吊り下げたゴング(銅鑼)。音を鳴らす面積が大きいため、静かに叩くだけでもしっかりと空気を振動させることができます。
フラット・ドラム
ナチュラル・レザーやファイバーから作られた丸い形状のドラム。インディアン・ドラムやメディスン・ドラムとも呼ばれ、ネイティブ・アメリカンの文化の中で儀式的に使われてきました。意識の奥に深く深く入っていけるような響きを持っています。
リード楽器類
木製や金属製の薄いリード(弁)に空気を吹き付けて揺らすことで「ビョーーー」というような長い音を出すリード楽器。バグパイプやアコーディオンもリード楽器です。
シュルティ・ボックス
鍵盤ではなく、「音階の弁を横にスライドさせる」ことで音色を決められるリード楽器。細かく音階が変わるようなメロディを演奏することは構造的に難しいため、同じ音階の響き「ドローンサウンド」を作ることに向いています。
ハルモニウム
音のヨガと呼ばれる「キールタン」で使用されることも多いハルモニウム。鍵盤が付いているのでさまざまなメロディを弾くことができます。
サウンド・バスを体験してみよう
「サウンド・バスを体験してみたい!」と思ったとき、いまなら「YouTubeなどのオンラインで体験」と「対面のリアルイベントでの体験」の2つの種類から選ぶことができます。
オンライン サウンド・バス
YouTubeやZOOMなど、オンラインで演奏を視聴するオンライン サウンド・バス。それぞれの快適な空間で、誰に気を遣うことなく音を楽しめるというメリットがあります。
どうしても「音の響き」は生演奏と違ってしまうので上手に活用してみましょう。
- スマホやパソコンのスピーカーではなく、外付けスピーカーやイヤフォン・ヘッドフォンを利用する
- 特別な時間に向けて日常の用事を済ませておく
- ベッドの上など、ゴロゴロできる環境で寝ながら聴く
私も頻繁にYouTubeライブ配信を行っています。無料で視聴できますので、お気軽にご参加くださいませ。
対面でのサウンド・バス
奏者と聴者が同じ空間で過ごす、対面でのサウンド・バスイベント。立体感のある音の響きは生演奏ならではです。
まだまだマイナーな音楽のジャンルなので、下調べを行ってから参加してみましょう。
- その奏者さんの演奏は心地よい?(YouTubeやSNSで試聴)
- イベントの内容・雰囲気は自分の好みに合っている?
いろいろな演奏に触れて、好みのものを探してみましょう。
私は東京・浅草橋のサウンド・バススタジオ「studio PLAYA」を中心に毎月たくさんのサウンド・バスイベントを実施しています。体験を自分の中に大切に保ったままお帰りいただける雰囲気を大切にしていますので、お気軽にご参加くださいませ。
サウンド・バスの誤解について
サウンド・バスという考え方は始まったばかりです。厳密に言えば、サウンド・バス的なアプローチは以前からずっと行われていたけれど、それをサウンド・バスと呼び始めたのはごく最近(2018年ごろから)となります。
サウンド・バスは
- メロディではなく響きに包まれる
- リラックスを大切にしている
- スピリチュアルな主張がない
というのが大きな特徴です。
クリスタルボル ≠ サウンド・バス
クリスタルボウルはサウンド・バスの演奏で広く使われていますが、クリスタルボウル演奏 = サウンド・バスではありません。
クリスタルボウルを使っていてもサウンド・バス的な演奏方法・アプローチではないものもありますし、サウンド・バスであってもクリスタルボウルを使っていない奏者さんもおられます。
他のジャンルの音楽もそうですよね。
「ロック」という音楽ではギターやドラムがよく使われているけど、三味線でロックをする人もいるし、スーツ姿の人もいれば悪魔の扮装の方もおられます。
「クリスタルボウルを使っていればサウンド・バスだ!」になってしまうと本来の趣旨とはズレてしまうので、私たち奏者は気をつけたいところです。
私個人の感覚としては「サウンド・バスの奉納演奏」とか「集中力を高めるサウンド・バス」、「一瞬で意識を変えるサウンド・バス」というような表現には違和感があります。神様に捧げるものではないし、集中するものではないし、一瞬しか鳴らさないものではないし…です。
自分の内側を楽しんでみましょう
以前、こんな感想をいただいたことがありました。
「クリスタルボウルが鳴り出したら、そこの水が揺らめき始めたんです!すごいですね!」
…はい……ネタばらしをして申し訳ないけれど、そこの水は(演奏前から)ずっと揺らめいていたんですよね。ジェット機が飛んで来たのならともかく、クリスタルボウルの音量くらいで遠くの水を揺らすことはできません(これは悪いことではなく、自然なことです)。
変化したのはあなた自信の感覚、感受性です。
サウンド・バスによって余計な思考から離れた感覚優位の状態になると、さまざまなことを感じられるようになります。
長い前髪が目にかかったままだと見えづらかった景色が、散髪したらスッキリ遠くまで見えてくるように、世界が変わったのではなく、あなた自信に変化が起きたんです。
そう。私たちの内側には無限の可能性があります。
クリスタルボウルに神秘性を感じるのと同じくらい、自分自身にも神秘性を感じてみましょう。それは、自分自身をもっと大切にすることにもつながるし、他の誰かにやさしくできるキッカケにもなると思います。
あなた自身の内側、すぐ近くの扉を開いてくれるのが、サウンド・バスの体験です。