昨日ご紹介した「ワンドマレット」。いろいろと反響をいただきましたので、完成するまでの遠い道程をご紹介します。
銀孔雀での気づき
2015年の4月、大阪にある魔女とシャーマンのセレクトショップ「呪術と魔法の銀孔雀」でクリスタルボウルの演奏を行いました。
銀孔雀ではたくさんの呪術グッズが販売されており、ひとつずつが手作りなのです。
「魔女は自分で使うものをずっと手作りしてきたから」というようなお話を聞いて・・・クリスタルボウルはどうなんだろう?と考えました。
クリスタルボウルに愛着・愛情を持って接している方は非常に多いです。私ももちろんそうです。ふつうの楽器とは違う、乱雑に扱うことのできない魅力があります。
だけど、クリスタルボウルそのものも、演奏に使うマレットも、下に敷くOリングも、すべて工場で、知らない他人の手によって製造されているものです(クリスタルは超高温でないと溶融しないので、ガラス玉のような手作りはできません)。
なにかもっと、手作りの要素があれば、もっとボウルが好きになるんじゃないかなと思いました。
ワンドマレットの着想
銀孔雀ではワークショップが頻繁に開催されていて、「手作りワンドのワークショップ」というのもありました。
魔法使いが持っている棒・ワンド。マンガの中だと先端から稲妻がビビビ!と飛び出たりするワンドは、まさにボウルのイメージにピッタリでした。
「片方に水晶などのパワーストーンが付けられてワンドとして使うことができ、もう片方ではボウルを演奏できる」という構想はこのときにすでに完成していました。
素材探しで一苦労
ここからが本当に長かったです。
一般的に、ワンドの本体は「木」で作られます。ボウルのマレットも「ウッドマレット」があるので、木をワンドマレットに用いるのはスムーズに決まりました。
まず、山に落ちている木の枝や、河川の流木で試作しました。素材を集めるために軽井沢まで行ったこともあります。
しかし、自然な形状の木だとどうしても「まわす(こする)」演奏が安定しませんでした。
まわすときにはマレットが正しく丸くなっている必要があり、ゆがみや凹凸があると音が途切れてしまうのです。
また、マレットとしての「持ちやすさ」も課題でした。
自然な形状のままではなく、表面を丸く加工した木を使うことにしました。
太さ・固さ・密度による音の変化
マレットの太さ・固さ・密度で音が変化します。
一般的なスウェードマレットは柔らかくて中空なので、叩いたときの音が柔らかく響きます。ゴムマレットはゴムヘッド部分が丸いゴムの玉なので、叩くと固い音になります。
ワンドマレットの芯になる木も、たくさんの種類を集めて実験しました。
軽くて柔らかい木だったらよいかなと思って「バルサ材」という、すごく軽いもので作ったところ、軽すぎて音がまったく出てきませんでした。
黒檀(コクタン)や紫檀(シタン)、延寿(エンジュ)、ヒノキ、ケヤキ・・・本当にたくさんの木で試しました。
それぞれ微妙に雰囲気が変わるんですよね。鳴らすボウルによっても最適な素材は異なるので、研究を続けていきたいと思います。
ワンドマレットのワークショップを考えています
2017年にワンドマレットを手作りするワークショップを計画しています。
たくさんの種類の木やレザー、クリスタルの中から好きなものを選んで、世界にひとつだけのワンドマレットを手作りしましょう。
ワンドの木とクリスタルは安全性を考えて、パテで固定しています。パテが乾燥するまで時間がかかるので、待っている間は私のクリスタルボウル サウンド・バスを体験してもらうかもです。
どうぞお楽しみに。
一足先に見てみたいぞという方は、明日の大阪イベント、来週の東京イベントともに空席がありますので、お気軽にお越しください。
クリスタルボウルをもっと自由に楽しみましょう!