クリスタルボウル奏者が何人か集まると「ところで、イビキの対策ってどうしてます・・・?」と、ヒソヒソ話が始まることがあります。極端にぐーすか眠られてしまうと、ほかの方々が繊細な音の響きを楽しむことができなくなり、とてもハラハラドキドキするのです。
最近の私は照明をコントロールするなどして、積極的には「眠らせない」流れのイベントを行っています。そこにはたくさんの思いがあるので、今日はそんな話を書いてみます。
まず、そもそも話としてクリスタルボウルの演奏を寝転がって聞くのは眠るためではありません。寝転がるのは以下の理由からです。
- 心身がリラックスできる(結果として眠ることもありますが・・・)
- 全身で音の圧力を受け止めることができる(のびのびとお風呂に入ると心地よいのと同じ)
- 床に置いたクリスタルボウルと同じ高さにアタマを置くことで、バランスのよい音の響きを得られる
- 南北に走る地球の地磁気の流れに合わせて寝転がることで、宇宙との一体感を高められる
また、クリスタルボウルの音を立ったまま聞いているとフワフワ(フラフラ)することがあるので、安全のために立っておかない(あらかじめ寝ておく)というのもあります。
私は長年演奏を続けていますが、ぶっちゃけると「瞬時に眠らせること」はすごく簡単です。チョー簡単です。寝転がってもらって、ちょっと強めにゴンガガグワングワン鳴らして→無音にすればほぼ確実に誰でも眠らせることができます。「一瞬で寝落ちする(させる)」からといって、演奏が優れているわけではありません。
もちろん、眠ることが悪いとは言いませんし、リトリート(お泊まりイベント)のときなどはしっかり眠るための演奏を行っていますが、クリスタルボウルの魅力は眠るか眠らないかの「あー、こりゃ心地よい」という「まどろみ」の状態にもあると私は思うのです。
布団に入って眠ろうとしてたら、ふっと何かを思い出したり、閃いたりした経験は誰もがあると思います。私は過去にいろいろな音楽や散文を作っていたころ、布団の中ですごくよいアイデアを思いついて、「これ、明日ちゃんと作ろう」と思っていたけど翌朝に目を覚ましたらまったく思い出せない・・・ということがしばしばありました(モッタイナイ!)。
眠るか眠らないかの「あー、こりゃ心地よい」という「まどろみ」の状態は、深い瞑想に似ていると思います。瞑想の場合は指で輪を作ったりして眠らないように意識を保っていますよね。
眠るか眠らないかの意識は、とてもピュアな、純粋経験とも言える状態。そこに(起きている世界の)「私」はすでになく、(夢の中の世界の)「私」もまだ現れてはいません。現実の私と夢の私の狭間にある、純粋な私です。その意識状態はとてもたくさんの可能性に溢れています。
そして、その「まどろみ」の状態、純粋な私の状態を作ることができる希有な存在がクリスタルボウルだと考えています。
そこから新しい未来を作り出していきましょう。ただ「気持ちよい」だけでなく、気持ちよくってさらにクリエイティビティを高められるのが理想です。
というわけで、最近のイベントは「座って聞く(メディテーション)」と「寝転がって聞く(ヒーリング)」の2本立てでやってますよ、と。春には久しぶりに広島、博多でもやります。