少々古い話になりますが、2011年に40人の被験者へさまざまな音楽を聴かせ、リラックス度を調査した結果、Marconi Unionの「Weightless」が「もっともリラックスできる曲」として選ばれたそうです。
英 デイリーメールでの報道
そのほか、選ばれた曲のランキングはこんな感じ。エンヤやコールドプレイ、モーツアルトにカフェ・デルマーという大御所もたくさんいますね。
- Marconi Union – Weightless
- Airstream – Electra
- DJ Shah – Mellomaniac (Chill Out Mix)
- Enya – Watermark
- Coldplay – Strawberry Swing
- Barcelona – Please Don’t Go
- All Saints – Pure Shores
- Adele – Someone Like You
- Mozart – Canzonetta Sull’aria
- Cafe Del Mar – We Can Fly
興味深かったので、アマゾンで買ってみました。
話が少々脱線しますが、私がクリスタルボウルの演奏を始めた約10年前、「誰かに習う」というものでもなかったし、世界中の宗教音楽やアンビエント/チルアウトミュージックを聞きまくりました。Ambient Meditationシリーズなんて何度聞いたことか!
そうやって、少しずつ「音の重ね方」や「場の作り方」を発見していきました。先日、岡山のHIKARI CLINICでクリスタルボウルの演奏を行った際、音楽に詳しい院長先生から「音の重ね方がDJの手法っぽいよね」と言われ、ああやっぱりそうなのかなと再確認してみたり。
曲を分解してみます
前置きが長くなりましたが、Marconi Unionの「Weightless」の1曲目、上記YouTubeで公開されている曲を分解してみました。
- イントロ:長い和音を、少しずつ音量を増やしながら繰り返す。薄く薄く和音が増えていく。心臓の鼓動を思わせる、ゆったりとした静かなビートの音も。
- 1分30秒ごろ:ぼんやりとした高音の短音をわずかに加え始める。同時に、低音の長い音もたまに混ぜて音の厚みを増やす。
- 2分40秒ごろ:低音が目立ち始め、カンという輪郭のハッキリした音も加わる。
- 3分ごろ:和音がさらに増え、盛り上がってくる。
- 3分50秒ごろ:たまに高音が混ざり、ピリリと刺激。「キンキンキン」という音を定位のハッキリつけて鳴らす
- 4分30秒ごろ:ピアノっぽいメロディが加わる。(「キンキンキン」終わり)
- 4分50秒ごろ:ギターぽい音、「ほわんわんわん」というスペーシーな音がさらに加わる。
- 5分15秒ごろ:中域の長い音が迫ってくる(ドキドキ)
- 6分ごろ:鼓動ぽいビートが遅くなり始める
- 7分ごろ:音の数が減り始める
- 7分50秒ごろ:ビートが消える
うん。まぁ、ボウルと一緒ですね。ゆったりと始めて、少しずつ重ねていき、短音を加えながら音の厚みを増やし、たまにメリハリのある音を混ぜて意識の誘導の方向性を保ち、ちょっと限界を試すみたいな音も混ぜつつ、少しずつビートをゆっくりにして、音を減らしていき、終了、と。
「心地よい」を再構築することが大切
もちろん、この楽曲はシンセサイザーで作られたものであり、クリスタルボウルとはまったく異なります。さらに、クリスタルボウルには「曲」や「楽譜」は存在せず、常にその場の状態、相手の意識を感じ取りながら音を組み合わせて演奏します。
だけど、もしこの楽曲が「心地よい」と感じたなら、そして「心地よい」と感じる人がもっとも多かった!というデータがあるのなら、その「心地よい」を、クリスタルボウルを用いて再構築することが大切だと考えています。
なんか話が難しくなりましたね。こういう、心地よい音を再生しながらクリスタルボウルを演奏すると、セッションやってるみたいで楽しいし、勉強になります。
たまに私のところへ「クリスタルボウルの演奏方法を教えてください!」という人が来ます。技術的な面であれば、ナンボでも教えます。しかし、一番大切なのは「心地よい」というものを感じる感性だと思います。そしてそれは、座学では身につきません。心地よいことをたくさん知る・行うことで身につきます。
そして、自分が心地よいと思ったものを誰かに伝えて、同じように心地よいと感じてもらえたなら、とても幸せな気分になれるのです。
そんな心地よい輪が拡がれば、世界はもっと穏やかになれると信じています。