シリカサンドを高温で溶融して作ったクリスタルボウルは水濡れや熱に強く、ギターやバイオリンのような楽器に比べると非常に取り扱いが簡単です。しかし、強い衝撃や振動を与えたときには割れてしまうことがあります。
クリスタルボウルの修理について
割れてしまった部分を接着剤で付け直したとしても、多くの場合は音の響きが変わってしまいます。ごくわずかなズレが微妙に振動して「ジジジジ・・・」というヘンな音を出してしまうので、これまでと同じように演奏に使うのは難しいです。
割れた箇所を「金継ぎ」して、ボウルを置物(オブジェ)として使っている方がおられました。
なるほど。これはすごく素敵!と思いました。
楽器として使い続けたい場合は、個人では修理ができません。購入元に相談して、製造メーカーに修理を依頼しましょう。
製造メーカーの修理になった場合、ボウルを送付し、再度ボウルを溶融して固め直すため、相応の修理代金がかかります。必然的に高価な「アルケミーボウル」が修理の対象になります。クラシックフロステッドボウル/ウルトラライトボウル/クリアーライトボウルであれば新品を買い直した方が安いです。
モルフボウルについて
一度壊れて修理されたボウルは「生まれ変わった(変容した)」という意味で「モルフボウル(morph bowl)」と呼ばれるようです。
ただ、この呼称やスペルが正しいのかちょっと自信がありません。いろいろな人から「モルフボウル」という言葉を聞いているけど、英語で検索しても情報が見つけられないんですよね・・・。日本独自の表現なのかしら。
※「ミルフボウル(MILF bowl)」と呼んでいる人もいましたが、さすがにそれは間違った表現だと思いました。モルフとミルフでは英語の意味がすごく違う・・・ミルフは「Mom I’d Like to Fuck」というスラングです・・・。
クリスタルボウルを破損から防ぐために
前述の通り、クリスタルボウルは一度割れてしまうと修理は非常に困難です。まずは「割らない」ことが大切です。
割れてしまう最大の原因は、運搬中にどこかにぶつけてしまうこと。運搬はとにかく気をつけましょう。
また、ボウルを大きな音で鳴らしすぎても割れてしまうことがあります。ものすごく早いスピードでマレットを回したり、演奏者がうるさいと感じるほどの音量まで音を出すのは危険です。やさしく扱いましょう。
自然に割れるアルケミーボウル?
クリスタルにパワーストーンのイメージを付け加えた「アルケミーボウル」は、コンセプトとしては非常に面白いボウルです。
しかし、アルケミーボウルはクラシックフロステッドボウル/ウルトラライトボウル/クリアーライトボウルに比べると壊れやすい性質を持っており、「何もしていないのに気がついたら割れていた」ということもあるようです。私のまわりでも4人、自然に割れていたという人がいます。
また、書籍「クリスタルボウルに魅せられて」でも、自然に割れることについて言及されていました。
自然に割れるというのは理屈で考えるとおかしな話なので、原因を推測してみましょう。
私は「温度の変化」が自然に割れる原因ではないかと思います(あくまで私の推測です)。
ガラス窓に自然にヒビが入る「熱割れ」というのをご存知でしょうか?
ガラス窓が太陽で温められたときに、「太陽で温められている部分」と「アルミサッシの内側にあって太陽で温められていない部分」に温度差が生じると、熱い部分は膨張しようとするけど、熱くない部分は膨張しないため、自然とガラスが割れてしまう現象です。小さな箱の中で両手両足を拡げたら箱が壊れるみたいな感じですね。
熱割れは通常のガラスより、鉄線の入った「網入りガラス」の方が多く発生します。また、小さなキズやデコボコがある場合や、ガラスの表面にペンキを塗っているような場合に発生しやすくなります。
アルケミーボウルは、ウルトラライトボウル/クリアーライトボウルのまわりにコーティングを加えたり、シリカ以外の素材を加えて製造したりしているので、熱割れと同じ状態になりやすいのではないか?と推測しています。だって自然に割れるってのはありえないですもん。自然なようで、何かが変化しているはずです。
あくまで私の推測ですが、アルケミーボウルは温度変化に気をつけた方がよいかもしれません。
- 直射日光が当たる場所で演奏する
- ボウルの内側にキャンドルを入れる
- ボウルの内側に水を入れる
- 熱い車内に放置する
- エアコンが直接当たる状態で演奏する
といったことです。
もっともっとクリスタルボウルを楽しんでいきましょう!