クリスタルボウルは響きの楽器です。マレットで叩いたり、こすったりするとボウル自身が振動して音を発します。「ボウルがキレイに鳴っている = ボウルがキレイに振動している」と言い換えられます。
カーペットの上や座布団の上にボウルを置くと、ボウルの振動がやわらかな面に吸収されてしまうために正しい音が鳴りません。
固い床の上にボウルを(Oリングを使わずに)そのまま置くと、ボウルの振動がそのまま床から跳ね返ってきて、それがさらにボウルを振動させてしまうために正しい音が鳴りません(破損の恐れがあるので避けてください)。
クリスタルボウルをしっかりよい音で鳴らすためには「振動を吸収しすぎない素材」「振動を余計に反射させない素材」の上に設置するのが基本です。
そのため、クリスタルボウルには「Oリング」という丸い輪っかが付属しています。一般的には黒いゴム製のOリング、クリスタルボウル サウンド・バスSHOPなど一部の販売店・メーカーはさらに音の響きがよいシリコン製のOリングを付属させています。
でも、Oリングには不便な点もありました。最大の欠点は「ボウルを一度設置したら動かすのが難しい」ことです。
床の上にOリングを置き、その上にボウルを設置すると、「もうちょっと近くに寄せたいな」と思ったときに「一度ボウルを持ち上げてOリングを移動させてから→再度ボウルを設置する」という手間が必要でした。ズリズリっと動かせないんですよね。
また、絨毯や畳の上、屋外の土の上などフラットではない場所ではOリングを置いてもグラグラとしてしまい、ボウルを安定させることができないのも欠点です。
そういった不満を解消できる「土台ベース」を考案しました。
クリスタルボウルの土台ベースとは
土台ベースはOリングの不満点を解消できることを目的に考案しました。
本体は直径20cm(約8インチ)・厚み5.5mmのMDF合板。
上面(ボウル接地面)にはシリコン製のポイントが3つ付けられています。
底面(地面との接地面)にはソルボセイン製の足が4つ付けられています。クリスタルボウル サウンド・バスSHOPで販売している土台ベースにはCrystal Sound Laboratoryの刻印を入れています。
MDF合板による効果
MDF合板はスピーカー用の素材としても広く使われており、堅くて反りのない木材です。クリスタルボウルの真下に固くフラットな要素を作ることにより、音の吸収や乱反射を防いでボウル本来の響きを最大限届けることができるようになりました。
絨毯や畳の上、屋外の土の上であっても安定した音に近づけます。
シリコン製のポイント 3点による効果
物体を支える最小の点として3つのシリコン製ポイントを付けています。
Oリングは大きな丸い形をしているために、クリスタルボウルの最低面の振動エネルギーはOリングに阻まれて外部へ出ることができませんでした。3点のポイントで支えていると、ボウルの最低面に大きなスキマを作ることができます(ポイントが触れている部分以外は空中に浮いている状態です)。
これによって、最低面の振動エネルギーも余すことなく外部へ届けることができるようになりました。
ソルボセイン製の足による効果
底面(床との接地面)には4つのノーソレックスゴム(弾まない性質をもった合成ゴム)である「ソルボセイン」を付けています。
ソルボセインもスピーカーで広く使われている素材です。床面からの不要な共振を防ぎ、ボウル本来の響きを最大限届けることができます。また、適度に滑らせることができる素材なので、土台ベースの上にボウルを置いた後、ズリズリっと移動させることができるようになりました。
演奏中にレイアウトを変えたいとき、レッスンのときなどに非常に役立ちます。
土台ベースの作り方
土台ベースはクリスタルボウル サウンド・バスSHOPで販売していますが、市販の素材を使って自作が可能です。
材料
- MDFパネル 円形 【5.5×200¢mm】135g
- WAKI 粘着 ソフトクッション 丸型11.1mm 10個入 透明タイプ
- 東京防音 軽量機材用防振パット ソルボセイン TSS-328 直径28mm×厚3mm 4個入
作り方
- MDFパネルの内側に一辺の長さが8cm程度の正三角形を書きます
- 正三角形のそれぞれの頂点にシリコンのソフトクッションを貼り付けます
- 反対の面に黒い防振パットを貼り付けます
- 完成!
正三角形の大きさは使用するクリスタルボウルの大きさに合わせて変更してみましょう。
コルクの鍋敷きという簡易版も
土台ベースの簡易版としては「コルクの鍋敷きをOリングの下に置く」という方法もあります。コルクは適度に固く・適度に滑るので音質の改善が期待でき、レイアウトを変更するのも容易になります。
ただ、土台ベースと比べると音質の面や耐久性の面でコルクの鍋敷きは劣っています。見た目もやっぱり鍋敷きなので、長く活動を続けるなら土台ベースの導入がオススメです。
音の世界を楽しんでいきましょう!