ケイ素と人間の不思議なすれ違い【クリスタルボウル化学ロマン】

universe-2742113_1920

クリスタルボウルは「SiO2・二酸化ケイ素(シリカ)」という砂から製造されています。二酸化ケイ素が結晶化すると、いわゆる「水晶(クリスタル)」になるため「クリスタルボウル」という名前なのです。

今日は、ケイ素と私達・人間の不思議なすれ違いについてブログで書いてみます。ちょっと理系な有機化学のお話です(そういうのも私は大好物ゆえ・・・)。

ケイ素(Si)は周期表では炭素(C)のすぐ下にあり、地殻中には炭素より147倍も多く存在している身近なものです。しかし、私達(生物)の身体は主に水素(H)、炭素(C)、酸素(O)、窒素(N)から構成されています。生物中の炭素はケイ素の833倍も多く存在しています。

存在量(原子/100原子)

元素 生物中 地殻中
水素(H) 49 0.22
炭素(C) 25 0.19
酸素(O) 25 47
窒素(N) 0.3 0.1
ケイ素(Si) 0.03 28

(ブルース 有機化学【上】(化学同人 刊)より)

地殻中にはケイ素の方が炭素より多く含まれているにも関わらず、私達の身体は(ケイ素ではなく)炭素の方が多いのです。

どうして人間は炭素から作られているの?ケイ素の方が身近にあったんじゃないの?

ちょっと難しくなりますが、その理由は、生体を構成するためには強固な結合・分子の安定が必要なので、共有結合を形成するもっとも小さな原子であり、多重結合を形成できる炭素の方がケイ素より有利だったから(ケイ素は炭素のほぼ2倍の直径があり、長くて弱い結合となる)。

ざっくり言うと、「量が多いのはケイ素だったけれど、使いやすいのは炭素だったから」という感じでしょうか。

ここまでは事実の話で、ここから先はファンタジーの話です。

 

もし、地球上に炭素がなければ、私達の身体はケイ素から作られていたのかもしれません(生命が誕生・繁栄できたかどうかは別として)。

さらに、炭素の最終代謝生成物はCO2・二酸化炭素ですが、ケイ素の最終代謝生成物はクリスタルボウルの原材料であるSiO2・二酸化ケイ素(シリカ)です。

もし、「ケイ素人間」がいたとしたら、炭素人間である私達が呼吸とともに二酸化炭素を吐き出すように、ケイ素人間は呼吸とともに水晶を生み出していたのかもしれません。ウシのゲップも水晶!

 

私達ととても身近な存在でありながら、わずかな理由からすれ違いを続けていたケイ素。

そのケイ素を由来とするクリスタルボウルの音色に、私達が癒されるというのは・・・なんだかロマンを感じてしまいます。すれ違いを続けてきたもうひとりの自分と再会できたような気持ちになります。

ひょっとしたら、宇宙のどこかには水晶を生み出すケイ素人間がいるかもしれませんね!

演奏の準備をしながら、そんなことを考えていました。明日はヨガフェスタ横浜2018!

参考文献:ブルース 有機化学【上】(化学同人 刊)

[amazonjs asin=”4759815848″ locale=”JP” title=”ブルース有機化学 (第7版) 【上】”]

Magali Luhan

水晶から作られた楽器「クリスタルボウル」を使い、心地よい音色で心身に変化をもたらすサウンド・バス アーティスト。東京・浅草橋「studio PLAYA」運営、Crystal Sound Laboratory代表。

PAGE TOP