本日は少々マニアックなお話です。
クリスタルボウルの音階を厳密に調べたいときに最適なスマホ用アプリ「Peterson iStroboSoft Tuner」をご紹介します。
Peterson iStroboSoft Tuner
無料アプリではなく、1,000円以上する(アプリとしては)高価なものですが、無料のチューナーアプリや楽器メーカーの安いチューナー機器に比べるとはるかに高性能です。
スマホを向けてボウルを鳴らせば「ドレミファソラシ」の音階を調べられるのはもちろん、音の周波数や、基準ピッチからどれだけ差があるのかなど、細かなデータまですぐに分かります。英語アプリですが、操作方法はなんとなく分かると思います。
ピッチの差とは?
クリスタルボウルは楽器としての歴史がとても浅く、製造技術もまだ発展途上中のため、「狙った音階にピッタリ合ったボウルを作る」という技術が確立されておらず、すべてのボウルが偶然の結果として産まれたユニークな響きを持っています。
たとえば、同じ9インチの「C(ド)」のボウルであっても、それぞれが微妙に違う響きを持っており、その響きの差がボウルの個性を作っています。
ピアノやギターであれば、完成した後から音のチューニングを調整して、どんなピアノやギターでも変わらない音にすることができるけど、ボウルではそういったことができません。そこで、ピアノやギターのようにチューニングされた厳密な「ドレミファソラシ」という音階(基準音)から、どの程度音程に差があるか?というのを「ピッチ」という数値で表しています。
ピッチがマイナス側であれば、基準音よりもちょっとだけ低く、プラス側であればちょっとだけ高いです。プラスマイナスの幅が10以内のものは、厳密にピッチが合っているということで「True Pitch」や「True Tone」と呼ばれています。
※ピッチがマイナスだから悪いボウル、プラスだからよいボウルという意味ではありません。
私のボウルのピッチと周波数
それでは、私が使っている「ドレミファソラシ」の基本の7つのボウルについて、すべてのピッチと周波数をアプリで計ってみました。
- C4(-8)260Hz
- D5(-45)571Hz
- E4(-48)320Hz
- F4(-48)339Hz
- G4(+3)393Hz
- A4(-21)434Hz
- B3(+21)250Hz
こうやって見ると、見事にピッチがバラバラですね・・・。「True Pitch」や「True Tone」の規定(ピッチがプラスマイナス10以内)に合っているのは、CとGしかありません。
ピッチが違うとデメリットはあるの?
ピッチがプラス30だったりマイナス40だったりすることによるデメリットは、私は「ない」と考えています。クリスタルボウルの音というのは、とてもたくさんの要素から構成されており、残響の中に美しさがあります。単純にピッチが合っている・合っていないで美しさが変わるものではありません。演奏方法や会場の雰囲気作りの方が100万倍影響します。
上記のように、私の持っているボウルは「True Pitch」や「True Tone」の規定に合っていないものばかりですが、たくさんの方に喜んでいただいていますし、ピアノやギター、コントラバス等さまざまな楽器と一緒に演奏をしています。
また、人気の「528Hz」の音はどの音階とも合っていないので、当然「True Pitch」や「True Tone」ではありません。
「True Pitch」や「True Tone」という言葉を聞くと、まるでそれが優れているかのように受け止めてしまうことがあります。だけど、決してそのようなことはありません。人間の身体だって、人それぞれ首の長さや腰の位置が違います。
ピッチにこだわらず、もっと自由に「体験」を軸としてクリスタルボウルを楽しんでいただきたく、アプリと私のボウルのピッチを紹介させていただきました。