クリスタルボウルに興味を持つ人がとても増えました。「私も演奏してみたい!」と相談を受けることも多いです。その一方で、クリスタルボウルという楽器はとても入手困難なため、残念な思いをしてしまうこともあります。
では、なぜクリスタルボウルはこんなにも入手困難なのでしょう?在庫が少ないのでしょう?
私が知っている限りの知識でご紹介します。
製造メーカーが少ない
クリスタルボウルはものすごくマイナーな存在なので、製造しているメーカーはごくわずかです。製造にはプラズマを用いたアーク溶融という高度なオートメーション技術が必要になっており、下町の工房に依頼して、ひとつずつ手作りできるようなものではありません。
少ない製造メーカーが作ったものを、日本・アメリカ・オーストラリア・中国・台湾など、世界中のユーザーが購入している状態です。
狙った音が作れない
クリスタルボウルの製造は「偶然」に委ねられている要素がものすごく大きく、完成するまでは「ドレミファソラシ」の、どの音のボウルになるのか分かりません。完成したボウルをひとつずつ叩いて、「これは・・・ド、いや、やっぱりド#かな」というように、音階が決定されていきます(そのため、ラベリングされた音階と実際の音階が間違っていることもあります)。
先日のブログで書いたように、ひとつずつピッチが異なるのはこのためです。
もし、狙った音を作れるのであればピッチも異なりませんよね。
「どうして狙った音が作れないの?」と不思議に思うかもですが、それがまたクリスタルボウルのおもしろいところです。
クリスタルボウル製造の大手メーカーでさえ、「どれだけ作ってもいい音のボウルが完成しない」というスランプ時期があったと聞きます。ボウルひとつずつの個性を大切にしてあげましょう。
人気の音・サイズに偏りがある
ウルトラライトボウル/クリアーライトボウル/アルケミーボウルという薄くて軽いボウルの場合、8インチ以上のサイズが演奏しやすく、11インチ以上になるとものすごく大きな形になるので、ほぼすべての方が「7インチ~9インチ」でボウルを購入しています。
そして、ひとつ目に選ぶのは#の付いた半音の音ではなく、「ドレミファソラシ」の音のいずれかであることが多いです。
このため、たくさんの方が「9インチのド」や「8インチのファ」という同じ音・サイズを探している状態になっています。
なにかと秘密が多い
企業の利益を確保するためには仕方ないことなのだろうけど、クリスタルボウルの製造はなにかと秘密が多いです。
たとえば、「メイドイン○○」というボウルがあったとしても、その国のどの街の、どこの工場で作られているかというのは、誰も公開していません。シャープのテレビなら三重県の亀山工場、iPhoneなら中国の広東省にあるフォックスコンで作られていることが知られているのに、です。
※iPhoneが中国で作られているのは人件費が安いからではなく、高度な技術を持った従業員を大量に雇用できるというのが理由です。
また、「産地偽装」ではないけれど、曖昧なところもすごくあります。
アメリカ製というクリスタルボウルを購入したとき、インボイス(税関申告書類)には「製造国:中国」と書かれていたことがあります。インボイスにウソを書くのはダメなので、やはり製造は中国だったのでしょう。それを、アメリカでパッケージに詰めるとアメリカ製になる、と・・・。
※私は国や人種によって差別はしません。ただ、違う国名が書かれていたので驚きました。
秘密が多いため、新規参入が難しいという状態です。
まとめ
作っているメーカーが少なくて、製造技術には偶然や秘密の要素が多くて、みんなが求めているものが同じで・・・
この世界に存在するクリスタルボウルは、どれもが唯一無二の存在です。出会えたボウルというのは、本当に「出会えた」ものだと思います。
ひとつずつの個性を大切にして、やさしく演奏していきましょう。
・・・私が紹介しているボウルは以下のページから。
在庫は少ないですが、オススメの組み合わせの提案などもできますので、ご相談ください。