水晶から作られた楽器「クリスタルボウル」は万能ではありません。「どんな演奏でも癒される」というような単純なものではなく、場合によっては肉体的・精神的な苦痛を受けてしまうことがあります。
以下、私(Magali Luhan)が実施しているクリスタルボウル レッスンから、クリスタルボウルの副作用・トラブルに伴う対処方法を奏者向けと聴者(参加者)向けに分けて紹介します。
目次
奏者向けの情報
大前提として「クリスタルボウルを鳴らしさえすれば癒しを与えられる」というものではないこと、演奏方法によっては相手の心身に取り返しの付かないダメージを与えてしまう恐れがあることをしっかり自覚しましょう。奏者は常に謙虚であるべきで、「私は悟った!」というような魔境に落ちないようにしてください。
また、複数の演奏者が同時にクリスタルボウルを演奏する「コラボ演奏」や、ピアノの発表会のように次々に奏者が変わる「細切れでの演奏」はやるべきではありません。どちらも聴者を置いてけぼりにした身勝手な演奏になってしまう恐れがあります。歯医者さんで「今日はふたりで治療します!」とか「最初に私が削って、途中からはバトンタッチします」とか言われたらイヤですよね。
演奏中は聴者を確認し続けよう
クリスタルボウルの演奏中は心地よく過ごしていただけているか・苦痛を感じていないかを常に「目視」で確認しましょう。目視しやすいように室内も暗すぎない方がオススメです。
心地よいときの反応
心地よく感じてもらえているなら、お腹や胸が呼吸に合わせてゆっくりと上下しながら、全身の力がすとんと抜けて脱力しています。やわらかく、穏やかな雰囲気です。
リラックスが深くなるとお腹(腸)がギュルギュルと鳴り出す「腸蠕動(ぜんどう)」と呼ばれる
ことも多いです。これは状態で、リラックスできているために腸が活発に動き出した証拠です。お腹の音が聞こえてきたら安心してよいと思います(参加者さんにも「お腹の音は鳴るものだから気にしないでください」とあらかじめ伝えておきましょう)。
広い場所で大人数を相手に演奏しているとおひとりずつの反応が確認しづらくなるため、特に気をつけなければなりません。最前列の人と最後列の人では単純に「音量」も異なります。クリスタルボウル サウンド・バスは、なるべく10人程度の人数にしておくのが安全です。
苦痛を感じているときの反応
苦痛を感じているときは落ち着きなく体を動かしたり、目や口元に力が入っています。
苦痛を感じているように見えた場合、とにかく早くそっと近づいて「大丈夫ですか?」と声を掛けて、この後に紹介する対処方法を行ってみましょう。そのまま演奏を続けるのは危険です。
聴者(参加者)さん向けの情報
クリスタルボウルを聴く参加者さんも、クリスタルボウルは万能ではないこと、その効果は「奏者の技術力」と「聴者の意識の状態(セット)」、「演奏を聴く環境の状態(セッティング)」によって大きく変わることを認識しておいてください。
「ハグをすれば幸せホルモンが出る」というような話は有名ですが、だからといって誰それ構わずハグさえすれば幸せホルモンが出まくるかというと違いますよね。幸せホルモンどころかトラウマが残ってしまうようなときだってあるはずです。クリスタルボウルも同じです。
信頼できる奏者を探そう
クリスタルボウルはとても歴史が浅い世界です。そのため、奏者によって演奏の内容やイベントの雰囲気が大きく違っています。クリスタルボウルのイベントに参加する際は、その奏者の演奏内容やイベントの雰囲気・コンセプト・過去のクチコミをYouTubeやSNSで必ずチェックしておきましょう。
YouTubeやSNSで演奏内容が確認できない奏者、過去のクチコミな少ない奏者のイベントに参加するのは慎重であるべきです。
苦痛はガマンせずに伝えよう
クリスタルボウルには好転反応や副作用はありますか?という質問をいただくことがあります。クリスタルボウルには「よくなるために一時的に悪くなる好転反応」や「よくなるついでに悪い作用も出る副作用」はありません。いいものは一発でよいし、悪いものはどこまで行っても悪いです。
演奏中に少しでも違和感を感じたら、遠慮なく奏者に伝えましょう。
苦痛が起きたときの対処方法
クリスタルボウルを聴いたことによる苦痛は「肉体的なもの」と「精神的なもの」に大別できます(その両方同時もあります)。
それぞれの対処方法を紹介します。
頭痛や目まい、耳鳴りなど肉体的な苦痛
演奏が強く、音が大きすぎたり、クリスタルボウルとの距離が近すぎるときに生じる苦痛です。
まずはクリスタルボウルが演奏されている空間から逃れることです。一度この状態になるとさまざまな音が刺激になってしまうため、会話や騒音のない静かな場所で衣類を緩めて新鮮な空気を深く吸い込みながら休みましょう。
身体が冷えると悪化してしまう恐れがあります。肌触りのよい毛布にくるまって過ごしたいです。なにかにくるまるのは精神的な安心にもつながります。
どうにも辛いときには頭痛薬を使うことも検討すべきです。
恐怖、不安、疑心暗鬼など精神的な苦痛
精神的な不安や疾患を抱えていたり、過去にトラウマがあるとき、奏者や会場の雰囲気によって生ずる苦痛です。
まずはクリスタルボウルが演奏されている空間から逃れることです。可能であれば誰かと一緒に過ごしましょう。好きな食べ物や楽しかった場所について会話をしたり、美しい花や風景の写真などを見て明るい気持ちに切り替えましょう。
グレープフルーツジュースやオレンジジュース、ジンジャーティーや緑茶のような、少し苦みや刺激のある飲み物を飲むと回復することがあります。
パワーストーンを握ったり、片方の中指を眉間、もう片方の中指をみぞおちに軽く当てて深い深呼吸を繰り返しながら自分の鼓動を感じてみましょう。心臓の鼓動がゆっくりと変化するのを感じることで、意識を落ち着けられます。
可能であれば暖かくして布団に入って眠ってしまうのもオススメです。
どうにも辛いときには向精神薬や睡眠導入剤を使うことも検討すべきです。
トラブルを未然に防ぐために
繰り返しとなりますが、クリスタルボウルは鳴らせば(聴けば)癒やされるという単純なものではありません。奏者は魔境に落ちることなく謙虚にスキルを磨き続けるべきですし、演奏を聴く参加者さんも「クリスタルボウルにはいろいろある」ということをしっかり認識して奏者を選ぶようにしてください。もし、どこかでクリスタルボウルの演奏を聴いて苦痛や恐怖を感じたとしても、それはその奏者さんの演奏だけかもしれません。
私も修業を続けます!