クリスタルボウルのレッスンの際に、生徒さんから「チベットとクリスタルボウルに関係はありますか?」というご質問をいただきました。
チベットとクリスタルボウルは関係があるようなないような状態なのでブログでご紹介します。
チベタンボウルとクリスタルボウル
結論から書くと、チベットとクリスタルボウルには「直接の」関係はありません。でも、クリスタルボウルはチベットの文化から多大な影響を受けています。
チベットには「チベタンボウル」という名前で呼ばれる金属製のボウル型楽器があります。
チベタンボウルは瞑想や宗教的儀式において長い歴史を持っているとされ、クリスタルボウルと似た長い響きを出すことができる楽器です。
・・・ただ、チベタンボウルが本当にチベット由来なのか、長い歴史があるのかどうかはハッキリしていないようです。こちらの書籍でもさまざまな推測が行われています。
そのため、あくまで「通説としては」という表現になりますが、チベタンボウルはクリスタルボウルよりも遙かに昔から使われていました。
クリスタルボウルの誕生
チベタンボウルの歴史とはまったく違うところで、20世紀に入ってから世界中の工場や研究室で「石英るつぼ」と呼ばれる「水晶から作られた鍋」が製造や実験のために使われるようになりました。
どうしてわざわざ水晶で鍋を作っていたかというと、水晶は高温に耐えることができ、さまざまな薬品にも強いので製造や実験に便利だったからです。石英るつぼは現在でも世界中で使われています。
さらに時代は進み、1980年代のアメリカで「石英るつぼを叩くとものすごい音が鳴る」ということに気がついた人たちがいました。そういえば石英るつぼはチベタンボウルにも形状が似ています。
これは癒しの楽器になるのではないか・・・ということで研究と改良が続けられ、現在のクリスタルボウルへと進化しました。
東洋の叡智と西洋の閃き
チベタンボウルは金属から作られ、クリスタルボウルは水晶を溶かして作られています。「水晶を溶かす」というのは金属を溶かすのとはまったく違うテクノロジーが必要で、20世紀に入ってから実現できたものです(オーパーツとも言われるクリスタルスカルなどは水晶を溶かして作ったのではなく、研磨して作られています)。
昔の人はボウル型の楽器を水晶で作りたくても、溶かす技術がなかったので作れなかったわけですね。
でも、水晶を溶かす技術を持った20世紀の人たちも、チベタンボウルの響きを知らなかったら石英るつぼが楽器になるとは思いつかなかったかもしれません。
東洋の叡智と西洋の閃きが融合したものがクリスタルボウルと言えます。
さらに、一般的にチベタンボウルはドレミファソラシの音階に合わせて製造はされていませんが、クリスタルボウルはさまざまな大きさ・厚みで製造することでドレミファソラシの音階を鳴らすことを実現し、より音楽的なサウンド・ヒーリングが行えるようになりました。
チベットで古くからクリスタルボウルが使われていたとか、チベット人がクリスタルボウルを発明したというような事実はありません。
でも、クリスタルボウルはチベットの文化から多大な影響を受けています。私もいつかチベットを訪れてみたいです。