studio PLAYAではクリスタルボウルやサウンド・バスをこれから始めたみたい!という方に向けて「ファーストステップレッスン」というレッスンを実施しています。
ファーストステップレッスンは「座学」と「実技」に分かれており、座学では音が人を癒す理由、クリスタルボウルの歴史・種類・選び方、奏者としての心構えなどを1時間半に渡って説明させていただき、実技ではクリスタルボウルを実際に鳴らす練習をしています。
すごく好評なレッスンではあるのですが・・・(参加者さんからの感想はレッスンの申し込みページ下部よりご確認いただけます)
約3時間という長いレッスン、入門編とはいえ本格的な内容のため、「もっと気軽な体験ワークショップのようなものはないの? プロ奏者になりたいわけじゃなくて自分で鳴らして楽しみたいだけなのだけど」というご質問をいただくことがあります。
今日はクリスタルボウルの体験ワークショップについてブログでご紹介します。
クリスタルボウルの体験ワークショップはありません
結論から書きますと、申し訳ございません。現時点ではクリスタルボウルの体験ワークショップのようなものはありません。一番お気軽なレッスンが「ファーストステップレッスン」となっています。
その理由は大きく2つです。
クリスタルボウルは心身に与える影響が大きい
クリスタルボウルは癒しの楽器と言われますが、演奏の内容によっては心身に大きなダメージを与えてしまう恐れがあります。お猿が叩いても癒されるというものではありません(だからこそ、さまざまなスクールやレッスンが行われています)。
体験ワークショップのような感じで気軽に鳴らしてもらうと、大変失礼ながら「鳴らしているのが楽しい」という状況になりがちで音が過剰に響きすぎ、心地よい癒しではなくグワングワンとした目まいのような感じや頭痛を誘発してしまう恐れがあります。
サウンド・バスの考え方では「余韻」や「静寂」がとても大切です。余韻と静寂によって私たちの心身がより敏感になって、さまざまな気づきやスピリチュアルな体験にアプローチできるのです(ディープ・リスニングと呼んでいます)。私がクリスタルボウルの演奏を60分行うとき、実際に音を出しているのは45分くらいです。15分(4分の1)は静寂です。
でも、体験ワークショップで「あまりボウルは鳴らさずに余韻と静寂を感じてみましょう」だと物足りないですよね。「もっと鳴らしたい!」となってしまうかもしれません。
クリスタルボウルの音は癒しだけではなく危険な面もあることをお伝えしてから丁寧に鳴らしていただきたいために、ファーストステップレッスンでは「講義」が長く取られています。
クリスタルボウルは扱い方によって破損してしまう
水晶から作られたクリスタルボウルは強い力が加わるとお茶碗が割れるようにバリンと壊れてしまいます。壊れたボウルは基本的に修復不可能です(再度溶融して作り直すことはできますが、新品を購入する以上の費用がかかり、音色も変わるために現実的ではありません)。
この「強い力」というのは「パワフルな演奏」にも当てはまります。
やさしい音色の演奏でクリスタルボウルを壊すことは(まず)ありませんが、グワングワンと回転させまくったり、ゴキンガキンと叩きまくるとボウルは壊れてしまいます。
以前、とある奏者さんからこんなお話を伺いました。
「イベントが終わった後でお客さまがクリスタルボウルを鳴らしてみたいと仰るのでマレットを渡したら、いきなり叩いて割っちゃったんですよね・・・」
本当にコレ、悲しいけど「あるある」です。NHKの番組にクリスタルボウルが登場したときも某女優さんがマレットを「縦」に持って上から下へゴキーン!とボウルを叩き(お寺の住職が大きなおりんを叩くように)スタッフ一同青ざめたことがありました。
クリスタルボウルの正しい取り扱い方をお伝えするために、ファーストステップレッスンでは「実技」の前にも説明が長く取られています。
クリスタルボウルは気軽に鳴らすものではありません
体験ワークショップは「気軽に鳴らして試したい」「気軽に鳴らして遊びたい」というものだと思います。
でも、クリスタルボウルは気軽に鳴らすものではありません。「音」は空間全体を包み込むため、鳴らしているご本人は気分がよくてもまわりの方にはダメージを与える恐れがあります。
クリスタルボウルを体験したいときは、まず生演奏のイベントにご参加ください。
そして、「音ってこんなすごい力を持っているんだ」と感じていただいた上で、それを自分でも鳴らしてみたいかどうか冷静に判断していただければ幸いです。
話は変わりますが、私はアメリカのアーティストさんたちとの交流で「プロパンガスで火炎放射器を作る方法」を覚えました。アメリカのアートシーンの一部では、なぜかみんな火炎放射器を自作していろいろなアートを燃やして遊んでいたんですよね。
でも、日本で「火炎放射器を作ろうワークショップ」をやるつもりはありません。気軽に扱うには危険すぎるからです。
敷居を高くして誠に恐縮ではありますが、クリスタルボウルは大きな力を持っている存在だからこそ、気軽な体験ワークショップは行えないのです。
ゆっくりと音の世界を楽しんでいきましょう。